国内総生産(GDP)の停滞
2050年には日本は世界第八位に
GDPで見れば、現時点で日本は世界第三位の経済大国です。ただ、2010年に中国に抜かれて以降は、アメリカ・中国との差は開くばかりです。
2017年にイギリスのプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した予測では、2030年には中国が世界第一位の経済大国となり、インドが第二位、アメリカが第三位となり、日本は第四位となる。
さらに2050年には、日本はさらに順位を下げ第八位となるとのことです。
ひとつの国が生みだした付加価値の総和がGDPであるため、人口が多いほどGDP総額は大きくなります。日本は人口減少社会であるため、今後GDPを増やすためには一人当たりのGDPを増やすしかありません。
GDPがすべてではありませんが、重要な観点をあげれば、人口一人当たりのGDPで比較した場合、2018年時点でも日本は世界26位と低迷しているということ。
ようは、世界第三位の経済大国という裏側には、1億人を超える人口の多さで世界第三位の規模を維持できているという構図があります。
ただ、今後の我が国の置かれた人口減少社会においては、国際社会での影響力がどんどん低くなっていく可能性があります。
人口を増やしましょうといっても、即効性はないため、やはりひとりひとりの生産性を高め、一人が生み出す国内総生産を高める必要が、今後の日本にはある訳です。
やらされ感から脱し、主体性の発揮を
出所:日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」→
右図は、日本生産性本部が2017年に調査した、OECD加盟国の就業者1人当たりの労働生産性比較です。この調査結果から、日本の労働生産性は加盟36ヵ国中21位、平均値よりも低い値になっています。
この調査結果について、どういうことが考えられるでしょうか。
低いということは、改善し甲斐があるということですし、生産性が高い国々に学ぶ部分も多くあると思います。
日本は、ホワイトカラーの生産性、特にサービス業の生産性が低い、などとよく言われています。
日本人は、まじめで勤勉な国民性です。言われたことを正確無比にやり遂げる国民性は、大量生産大量消費の高度経済成長期を支えたのは確かです。画一的な知識詰込み型の教育と終身雇用という日本型雇用制度は、これまでの時代には確実に機能していました。
ただ、デジタル化とグローバル化が進展し、価値観が多様化する変化の時代においては、これまで強みとしていた部分が弱みとなり、激しい変化に取り残されているのではないでしょうか。
一人ひとりが自ら考え、主体的に動くことで生み出される付加価値の総和を増やすことが、労働生産性の向上に繋がり、しいてはGDPの再成長へと繋がります。
これまでの『言われたことを確実にこなす』姿勢ではなく、『自ら考え、必要とされる価値を生み出す』主体的で能動的な姿勢が必要とされていると思います。
押しつけられ、やらされ感の中で行う仕事からは、それ以上の付加価値は生まれにくいと思います。昨今の大企業/老舗企業で起こっている不祥事を見ていても、過去からの踏襲や上司からの指示に従った結果が引き起こした大失態だと考えられます。
人生の大半の時間を費やす【はたらく】ということとしっかりと向き合い、自分らしさや働き甲斐を見出し、高い熱意をもって、主体的に取り組む仕事から生み出される付加価値は、これまで以上の価値を生み出す可能性があると考えています。一人ひとりがやりがい・働き甲斐を感じながら、イキイキとはたらける社会の実現に向けて、日々日々、努力をしていきたいと思っています。